創業者からのバトン

総合エネルギー企業へ

沖縄ガス株式会社
我那覇力蔵 代表取締役社長

​企画・制作 沖縄タイムス社営業局

創業者からのバトン_沖縄ガス

 わが社の創業者は湧川善三郎です。兄である善公(初代社長)、善太郎とともに1958年に創立しました。卸商を営んでいた善三郎は、戦災復興が進む鹿児島市に出張した際、整然とした都市づくりを目の当たりにしました。そのとき、都市ガス敷設に刺激を受けたそうです。
 一方、当時の那覇市は、軒先や道路脇にまきや木炭が積み上げられ、防火や美観で問題がありました。まきの調達先、3兄弟の故郷やんばるの森林も傷めつけられていました。戦中は戦火に遭い、戦後も、燃料や建材のために無秩序な切り出しが行われていたからです。
 善三郎が都市ガス事業を提案し、3兄弟は長考の末、「県民生活の改善向上と都市環境の美化と整備、さらには沖縄の森林資源の保護育成に必ずや資する」という決意で創業に踏み切りました。「森林資源の保護育成」はSDGsの先駆けともいえるでしょう。
 創業者は相当な覚悟で決断したと察します。といいますのは、未知の事業である上に、操業には米国民政府の許可、インフラ整備の莫大な資金、人材育成、都市ガスの啓蒙などの課題が山積でした。しかし、東京ガスに指導を仰ぎながら粘り強く諸課題を克服し、1960年、那覇市の辻・松山・若狭地域39件へ都市ガス供給を始めました(現在は約7万件)。
 本土復帰を挟み2代目社長を務めた善三郎は「何度も投げ出したいと思うほど苦しい経営が続いた」と回顧しています。その一方で「人々に喜ばれる仕事を一生懸命にとことんやれば、天は必ず見ている」という趣旨の言葉を社員に残しています。

初代社長 湧川善公.png
湧川善太郎.png
創業者 湧川善三郎.png

初代社長の湧川善公氏、湧川善太郎氏、創業者の湧川善三郎氏(写真左から)

■環境に優しいエネルギーへ

 

  3代目社長・湧川昌秀、4代目社長・宮城諝(さとし)は、プロパンガス需要にも応えながら、厳しいエネルギー間競争に臨みました。その中で、熱量変更を経て実施した天然ガスへの転換(2015年)は、創業者のバトンをまさに受け継ぐ大事業でした。エネルギー効率が高くCO2排出量が少ない天然ガスの導入により、省エネ効果が高いコージェネレーションシステム(コージェネ)も利用できるようになりました。
 私が5代目社長に就任したのは2016年です。同年に電力自由化、翌年に都市ガス自由化が始まりました。この激変をチャンスととらえ、当社は、ガス事業を深掘りしながら、環境に優しいエネルギーとサービスを提供する「総合エネルギー企業」へ舵を切りました。

■地産地消の「再エネ」活用

 

 当社は2016年、イーレックス社と合弁合社(沖縄ガスニューパワー)を設立し、電力小売事業へ参入しました。創業の精神のもと、供給する電力の主力電源は再生可能エネルギー(再エネ)にこだわりました。パームロイヤル太陽光発電所や糸満市浄化センターのバイオガス発電所などから再エネによる電力を調達し、これに加えて昨年から出資先の中城バイオマス発電所(一般家庭11万世帯分)が稼働しています。今年は八重瀬町で太陽光発電事業を開始、来年は、バイオガス発電事業を西原町で開始する予定です。エネルギー関連業務を包括的に請け負うESP事業も拡大しています。第1号(2016年)のロワジールホテルでは、自噴する天然ガスを利用して発電し、排熱で温泉を温めるコージェネ事業を始めました。浦添市前田のスマートシティ事業では発電に伴う排熱を冷熱に転換し、冷房として地域で活用する計画です。今後は、各地域の皆さんとともに、再エネを活用した地域おこしに貢献していく所存です。再エネを拡大することで地産地消のエネルギーを増やし、地域内でお金を循環させ、雇用も生み出せるのではないかと考えています。(談)

中城バイオマス.png

中城バイオマス発電所

沖縄ガス.jpg
でんきもガスも!ロゴたて (1).jpg
​© 沖縄タイムス